今夜は薬が無い。

早めにYの元へ行くべきだったが、一歩も動けなかった。


最近調子がよかったせいで
要さなくなっていた憂鬱が、
また目を合わせてくるから、
ゆっくりではあるが、続きを書こうと思う。




僕らが会う夜は、予め決めてはいなかった。


不思議と会えてしまうのだ。


一度、僕が行かなかった日に、
Kはひとりで来たことはあるのかと聞いた事がある。
Kは少し、奇妙な返事が返された。



「一度、無理矢理に起きて、ここへ来た事がある。
ここに、Tは居なかった」


Tというのは自分の名だ。



僕らはそうやって、眠れない沢山の夜を二人で過ごし、
疲れ果てて眠りたい時には、
何度も目を覚ましながら、ベッドにうずくまっていた。